大切な人が認知症になってしまった時のことを想像できますか?実際にかかわったことがない人からすれば「物忘れのひどいバージョン」という認識しかないかもしれません。しかし、そんなに甘い病気ではないのです。
『おじいちゃんが、わすれても…』は児童書です。子ども目線で「今、一番大切なことは何か?」というものが描かれています。
認知症の家族を介護して疲れ切っている方、人と折り合いをつけていくのが下手な方、人間関係を築くのが苦手な方にもおすすめできる本です。
命より大切なものはない
プロを目指すテニスクラブに移った杏(もも)には、認知症のおじいちゃんがいます。
テニスクラブにとっても大切な試合の前日に、おじいちゃんが行方不明になってしまいました。試合を取るかおじいちゃんを探しに行くか、杏(もも)は迷った末におじいちゃんを探そうと決意しました。
正直な話、こんな美談で終われるほど認知症の家族と生きていくことは容易いものではありません。それでも、自分にとって重要なことよりも大切な人の命を第一に考えた杏(もも)の行動はすばらしいと思えました。
命はやり直しが効かないのです。仕事にしろ勉強にしろ、命さえあれば何度でもやり直しができますが、意外とないがしろにしている方は多いのではないでしょうか。
健康な人にだって、いろいろな事情があります。目の前に並べられていることが重要であると錯覚してしまうことはあるでしょう。しかし、命と引き換えになるような事情でない限りは、それほど重要ではないのかもしれません。
杏(もも)と同じような状況下になったら、私は大切な人の命に対して必死になると思います。どんなに頑張っても、手に入れられないものだから。
人と折り合いをつけて生きること
この本のテーマには、「人と折り合いをつけて生きることの大切さ」も含まれています。
現代は他人に無関心な人が多いです。インターネットを通じて似たような考えの人とつながりやすくなりましたが、一方で異質な考えは認めないとする人が多くなりました。これは高齢者から子どもに至るまで言えることで、ほんの少しでも考えに相違があると人に危害を加えるという事件が現状を物語っています(殺人・ストーカー・ネットの炎上など)。
私には親世代の考えや生き方を理解できません。同時に、姪・甥世代の考えや生き方も理解できません。逆を言えば、親から見ても姪・甥から見ても私たち世代の考えや生き方は理解できないということでしょう。
しかし、理解する必要はないと思っています。「そういう考え方、生き方もあるのか」と受け入れるだけで十分でしょう。さまざまな世代や人と折り合いをつけながら生きていくことは、思いやりにもつながるはずです。
杏(もも)はおじいちゃんの変化を完全に理解したわけではありません。かつて、自分のことを思いやってくれたおじいちゃんが存在するから、大胆な行動ができたのです。
世の中にはどうしても許しがたい行動を取る人もいますが、折り合いをつけて生きていくことの柔軟性を身に着けるべきだなと考えさせられました。
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